■2014年公開講座内容
文京遺跡から学ぶ(10)―文京遺跡を巡る海と里の考古学―
愛媛大学の城北キャンパスの地下には、縄文時代から中世まで連綿と続く複合遺跡である文京遺跡が眠っていて、特に今から2,000年ほど前の弥生時代の大規模集落として知られています。今回の講座では、出土した資料・データを出発点として、文京遺跡をめぐる海と里で繰り広げられた人間活動を探り、どのような愛媛の地域文化や歴史が明らかにできるかを学びます。
前回までの講座は、松山平野を代表する遺跡である文京遺跡を素材として、日本列島内あるいは列島と東アジアとの関係という枠組みの中で歴史を学んできました。今回は、文京遺跡をめぐる海と里を取り上げます。第1回~4回の講義では、文京遺跡を取り巻く地勢環境と瀬戸内海に視座を置き、海辺の地形環境と塩生産、古代木造船と海上活動、文京遺跡の植生変化、そして地形環境の変化と人々の生活の関わり方をとおして、海と里で繰り広げられた人間活動の歴史と文化について解説していきます。最終回である第5回は、受講者の質問を受けながら、4名の講師が再度解説・討論します。
日時 | 10月11日/18日/25日、11月1日/8日(土) 13:30~16:30 (3時間×5回の計15時間) |
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会場 | 愛媛大学法文学部講義棟203※公共機関をご利用ください。 |
受講料 | 無料 |
定員 | 30名(先着順) |
対象 | 一般市民 |
日時 | 講師 | タイトル | 概要 |
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10月11日(土) | 田崎博之 | 「文京遺跡をめぐる地形環境の変化と人々の生活」 | 文京遺跡の発掘調査では、川の跡や、幅の広い谷の跡が確認され、かなり起伏がある地形であったことが明らかにされてきました。川や谷は、縄文時代前期~鎌倉時代の長い時間の中で次第に埋没していき、現在のほぼ平坦な地形に変化していきます。こうした地形の変化の中で、人々がどのように生活していたかを考えます。 |
10月18日(土) | 柴田昌児 | 「文京遺跡と瀬戸内海の人間活動」 | 文京遺跡では、活発な交流によって、中国大陸や朝鮮半島をはじめ九州や瀬戸内各地の遺物が出土しています。こうした遺物は瀬戸内の海を渡り、文京遺跡にたどり着いたのです。いにしえの瀬戸内海において人間はどのような活動をしたのでしょうか。弥生時代から古墳時代の木造船を検証し、海上活動の様子を復元します。 |
10月25日(土) | 三吉秀充 | 「文京遺跡周辺の植生変化と人間活動」 | 文京遺跡では、発掘調査を通じて炭化種実や炭化木材などの植物遺存体が数多く出土し、その種類や樹種が明らかになっています。また周辺の遺跡では花粉分析が行われ、植生データも蓄積されています。これらのデータ基に、文京遺跡周辺における弥生時代から古墳時代の植生環境について考えます。 |
11月1日(土) | 槙林啓介 | 「文京遺跡の時代における海辺の塩業」 | 文京遺跡の時代、瀬戸内地域のおもに砂浜海岸で、製塩土器による塩業が行われるようになっていました。文京遺跡の人々も塩をめぐって海民との交流があったかもしれません。本講座では、塩業と海辺の地形環境との関係、そして東アジアの動向とを比較しながら、文京遺跡の時代を考えてみたいと思います。 |
11月8日(土) | 田崎・柴田・槙林・三吉 | 「討論」 | 第1回~4回における受講者の質問を受けながら4名の講師が、文京遺跡をめぐる海と里の考古学について再度解説を行います。 ※なお、この公開講座の案内については、下記のホームページでもご覧いただけます。 http://www.ehime-u.ac.jp/~maibun/index.html |
■申込方法
埋蔵文化財調査室まで、氏名・住所・電話番号・Emailアドレスをお電話にてお申し込みください。