■2006年公開講座内容
文京遺跡から学ぶ弥生時代のムラの生活
愛媛大学が継続して調査している文京遺跡は、今から2 , 000年ほど前の弥生時代における西日本有数の大規模集落遺跡として知られています。文京遺跡で発掘された具体的な資料から、愛媛でどのような地域文化が展開してきたか、その特質を瀬戸内・四国の中でどのように捉えることができるのかを学びます。
また、前回までの講座は、松山平野を代表する遺跡である文京遺跡を素材として、日本列島内あるいは列島と東アジアとの関係という枠組みの中で歴史を学んできました。今回は、文京遺跡をめぐる海と里を取り上げます。第1回~4回の講義では、文京遺跡を取り巻く地勢環境と瀬戸内海に視座を置き、海辺の地形環境と塩生産、古代木造船と海上活動、文京遺跡の植生変化、そして地形環境の変化と人々の生活の関わり方をとおして、海と里で繰り広げられた人間活動の歴史と文化について解説していきます。最終回である第5回は、受講者の質問を受けながら、4名の講師が再度解説・討論します。
日時 | 11月18日/25日、12月2日/9日/16日(土) 13:30~16:30 (3時間×5回の計15時間) |
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会場 | 愛媛大学法文学部講義2階203番教室 |
受講料 | 3000円 |
定員 | 30名(先着順) |
対象 | 一般市民 |
日時 | 講師 | タイトル | 概要 |
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11月18日(土) | 田崎博之 | 「分銅形土製品-顔を写した呪術具」 | 今から 2000 年ほど前の弥生時代の大集落である文京遺跡では、人の顔を写した分銅形土製品と呼ばれる板状の土製品が数多く出土しています。文京遺跡に暮らしていたのは、どのような容貌の人々だったのでしょうか。また、分銅形土製品に託された意味合いを探ります。 |
11月25日(土) | 吉田 広 | 「青い 小玉と緑の碧玉-身を装う 」 | 文京遺跡では、青いガラス小玉や緑色凝灰岩製の管玉など、弥生人の身を飾った玉類が出土しています。これらは、稀少な品物として、特定の生産や流通を通じて文京遺跡にもたらされ、それを身につけた人に、ある種の権威を与えたことでしょう。その具体的内容を説き起こします。 |
12月2日(土) | 三吉秀充 | 「紡錘車-暮らしの中の糸づくり・布づくり」 | 衣食住という言葉に表現されるように、糸や布は生活に密着したモノです。文京遺跡では、当時の糸や布を知る資料が出土しています。実物資料を手に取り、振れながら、当時の生活の様子や変化について考えます。 |
12月9日(土) | 下條信行 | 「鏡-装いと威信」 | 弥生時代の倭人は鏡を珍重し、遠く中国から輸入していました。その一端が文京遺跡にも及んでいます。単なる装いの道具としてなく、当時の漢帝国に連なる威信を、弥生人は敏感に感じ取っていたようです。鏡から当時の社会に考察を巡らしてみましょう。 |
12月16日(土) | 田崎博之・吉田 広・三吉秀充 | 「討論-弥生人の装いと呪術 」 | 今回の公開講座でとりあげた分銅形土製品、玉類、鏡、そして紡錘車から、文京遺跡の大規模集落での生活のあり方などを、受講者の質問を受けながら、3名の講師の討論によって解き明かしていきます。 |
■申込方法
法文学部事務課学務係窓口またはお電話にてお申し込みください。申込書など関係書類をお渡しします。郵送ご希望の方はお申し出ください。)受講料は、銀行での振り込みになります(やむを得ない場合は、直接持参による現金でも取り扱います。)詳しくは、お渡しする「愛媛大学公開講座の受講を希望される皆様へ」をご覧ください。