■埋蔵文化財調査室 調査成果速報展 文京遺跡の解明Ⅲ「食の記憶―1500~2000年前の食生活―」

現在、埋蔵文化財調査室では、大学構内遺跡の発掘調査報告書刊行に向けた整理作業を進めています。その中間成果報告を、今年度2回にわたってミュージアムエントランスでスポット展示しています。第3回は、愛媛大学城北キャンパスにある文京遺跡で発見された1,500年~2,000年前の食に関連する分析・検討成果を「文京遺跡の解明 Ⅲ、食の記憶-1,500年~2,000年前の食生活」として、平成28年2月17日から3月31日まで展示します。

日時 平成28年2月17日(水)~平成28年3月31日(木) ※毎週火曜日は休館
会場 愛媛大学ミュージアムエントランス(愛媛大学城北キャンパス内)
時間 午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
入館料 無料
対象 一般の方
駐車場 無(公共交通機関をご利用ください)※報道機関の方でお車で取材に来られる場合は、正門警備室で会社名等をご記入の上、来客用駐車場をご利用ください。

城北キャンパスの地下に眠る文京遺跡には、約2,000年前の弥生時代中期末~後期前半、大規模な集落が広がっていました。 埋蔵文化財調査室では、当時の「食」の解明を目指して、ゴミを捨てた穴や住居内の炉跡の土を水洗(すいせん)篩(せん)別(べつ)することによって、小さな炭化物や歯骨片を採取し、分析を進めてきました。また、出土した土器の観察から、どのような煮炊きを行っていたのかが明らかになってきました。 炭化物の中にはコメ(米)、ムギ(麦)、アワ(粟)、キビ(黍)などの穀類、ササゲなどのマメ類があります。コメ(米)が中心で、他の穀類がごく少量混じる姿は、現代の雑穀御飯によく似ています。イチイガシなどのドングリの数は少なく、平地部に立地する文京遺跡の特徴と言えるかもしれません。マダイやイノシシなどの歯や骨も見つかっています。骨や歯は火を受け、白色あるいは黒色に変色しており、加熱調理されていたことがわかります。 食は時代ごとの生活様式や生活水準をあらわしています。出土した食物を見ると、現代と比べても食材が豊かだったことがわかります。

また、これまで文京遺跡では、煮炊きに用いた甕が大量に出土していますが、どのように火にかけてい たのか分かっていませんでした。しかし、甕の内外面に付いたコゲやスス、火を受けた痕跡の観察結果から、これまで考えられていた煮炊きの方法と異なり、甕を斜めに傾けて煮炊きしていた事を明らかにできました。 2,000年前に使用された特大型の甕(容量9L)の内面には、コメを炊いた時に付いた水面のラインが残っています。上半部に薄いコゲが巡っていますが、このコゲの下端が水面のラインです。甕を直立させて使用していれば、水面のラインは水平に付くはずです。しかし、甕を見ると胴の内側に対して斜めに付いています。外面に付いたスス、火を受けた痕跡にも片寄りがあることから、甕を斜めに傾けてコメを炊いていたと考えられます。展示では、甕を土の山に立てかけて復元を行っていますが、石などを用いた可能性もあります。

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