■埋蔵文化財調査室 調査成果速報展 文京遺跡の解明Ⅴ「畠作の始まり」

このたび,愛媛大学埋蔵文化財調査室は,調査成果速報展「文京遺跡の解明Ⅴ 畠作の始まり」を開催します。埋蔵文化財調査室では,城北キャンパス内の文京遺跡をはじめ,愛媛大学内の遺跡(埋蔵文化財)の発掘調査およびその成果の公開を行っています。本速報展では,調査区の一部を切り取った土層を展示し、考古学による分析や自然科学分析によって明らかになった畠跡の姿を復元し、日本列島における畠作開始の意義について考えます。

日時 平成28年11月2日(水)~平成28年12月26日(月) ※毎週火曜日は休館
会場 愛媛大学ミュージアムエントランス(愛媛大学城北キャンパス内)
時間 午前10時~午後4時30分(入館は午後4時まで)
入館料 無料
対象 一般の方
駐車場 無(公共交通機関をご利用ください)※報道機関の方でお車で取材に来られる場合は、正門警備室で会社名等をご記入の上、来客用駐車場をご利用ください。

文京遺跡では、弥生時代~古墳時代の遺構・遺物が出土する土層(Ⅲ層)の下に、縄文時代の黄褐色土層(Ⅳ層)が堆積しています。2014年秋に実施した文京遺跡60次調査では、Ⅳ層中で古土壌(Ⅳ-2a層)を発見しました。古土壌は、長期間地表となっていた痕跡です。60次調査では、洪水砂のⅣ-1a層に覆われ、人間の活動痕跡が良好な状態で残されていると考えられました。

60次調査では、①縄文時代晩期末~弥生時代前期初頭(国内最古)の畠跡であること、②谷の落ち際の緩傾斜の斜面の土壌を利用した畠跡であること、③南北幅6~7メートル以下の小規模な畠跡であったこと、④畝立てをしていない畠であったこと、⑤木製の手鋤で繰り返し耕耘作業を行っていたことを明らかにできました。

今回の調査成果によって、栽培植物の分析を中心に進められていた縄文時代の農耕研究を、畠跡という農耕地の視点から見直すことが可能となりました。また畠跡で実際に行われた作業を明らかにすることができたことは、当時の農耕技術や生産力を考える上でも重要な成果と言えます。

■報道関連

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